大阪府箕面市が新しく導入「アピアランスケア助成制度」 がん以外の外見ケアも支援する全国の自治体まとめ
Ivy Creation Lab
アピアランスケアとは？
「アピアランスケア」とは、先天性、病気やけが、治療の影響などで変化した外見をケアし、本人が自分らしく生活できるように支援する取り組みです。
たとえば、がん治療による脱毛や乳房切除の後に使うウィッグや補整具、外傷後のエピテーゼ（人工ボディパーツ）などがそれにあたります。
これまで多くの自治体では、「がん治療に伴う外見変化」への支援が中心でした。
アピアランスケアは、がん治療に伴うものだけではないにもかかわらず、一部の自治体では、「がん治療に伴う外見変化のケア」＝「アピアランスケア」という記載も見受けられるのは残念なことです。（最も残念なのは、アピアランスケアの助成制度が全くない自治体がまだあるという事実なのですが、、、）
そんな中、がん以外の病気や外傷、先天的な要因による外見の変化にも寄り添う制度が広がる動きが出てきました。
今回は、2025年10月に始まった大阪府箕面市の「アピアランスケア助成制度」の紹介と、この他にも全国で同様の取り組みをしている自治体を紹介したいと思います。
箕面市で新しく始まったアピアランスケア助成制度
2025年10月から、大阪府箕面市で「アピアランスケア助成制度」が新しくスタートしました。
制度の詳細は市の公式サイトに掲載されています。
⇒ 箕面市 アピアランスケア助成制度（公式サイト）
この制度の特徴は、がんに限らず、その他の傷病や先天的な身体の特徴による外見変化も対象としている点です。
主な概要
- 対象者：箕面市に住所を有する方で、傷病やその治療、または先天的な身体の外表の特性による外見変化がある方
- 対象品目：ウィッグ、補整下着、エピテーゼ(※1)など、外見の回復や補整を目的としたもの
- 助成金額：購入費用の2分の1（品目ごとに上限あり）
- 開始時期：令和7年（2025年）10月より申請受付開始
これまで「がん患者向け助成」は多くの自治体で行われてきましたが、がん以外の外見ケアまで支援対象を広げた制度は全国的にも珍しい事例です。
箕面市の取り組みは、アピアランスケア支援の新しい形として、今後の全国的な広がりが期待できるものだと思います。
(※1)身体の一部を失われた方のための人工ボディで、アピアランス(外見)を補う役目を担い、主にシリコンで製作されます。
全国の「がん以外」も対象とするアピアランスケア助成自治体
ここからは、箕面市と同様に「がん以外」も支援対象に含めている自治体をご紹介します。
公式サイトの記載内容から、がん以外の傷病・外傷・先天性疾患も対象となることを確認できた自治体をピックアップしました。
渋谷区（東京都）
「疾病やその治療、外傷による外見の変化でウィッグなどが必要な方」に対して、購入費用を助成。
がんだけでなく、外傷やその他の病気による外見変化も含まれます。
対象品目として「義眼などの補整用人工物」と明記されています。
⇒ 渋谷区 アピアランスケア用品購入費助成
流山市（千葉県）
「先天的、事故、がん以外の病気により欠損した 身体の見た目をカバーするために、医療用ウィッグ、乳房補整具、エピテーゼを購入した方」が対象。
円形脱毛症や先天的欠損症など、がん以外の疾患も想定した制度となっています。
⇒ 流山市 アピアランスケア用品購入費助成制度
志木市（埼玉県）
「がんやがん治療だけでなく、外見変化を伴うその他の疾病」も対象に含めている自治体。
対象品目にはウィッグや補整具の他、「その他エピテーゼなど」と記載されています。
⇒ 志木市 アピアランスケア用品購入費助成事業
天草市（熊本県）
「がんやその他の疾患（先天的疾患、事故など）による外見の変化」が対象。
顔・鼻・耳・指など、乳房以外のエピテーゼも助成対象と明記されています。
⇒ 天草市 アピアランスケア支援事業
なぜ「がん以外のアピアランスケア支援」が求められているのか
外見の変化は、がん治療に限らず、さまざまな理由で起こります。
例えば
- 円形脱毛症や皮膚疾患による脱毛
- 事故ややけどによる外傷
- 先天的な形成異常による見た目の違い
こうした変化は、見た目だけでなく、心理的なストレスや社会的な孤立を引き起こすことがあります。
しかし、医療保険や障がい福祉制度ではカバーされにくく、個人負担で補整用品を購入せざるを得ないケースも多いのが現状です。
その中で、箕面市のように疾患の種類を限定せずに支援する制度は、外見ケアの公平性を高める大きな一歩と言えます。
支援制度を利用するために知っておきたいこと
- 助成額・対象品目・申請条件は自治体によって異なります。
- 一部の自治体では、領収書や医師の証明書の提出が必要な場合があります。
- 「がん以外」も対象となるかどうかは、制度の要綱やQ&A欄で確認したり、自治体に直接問い合わせするのがおすすめです。
誰もが自分らしく過ごせる社会へ
箕面市の新しい「アピアランスケア助成制度」は、がん治療に限らず、あらゆる外見の変化に寄り添う全国的にも先進的な取り組みです。
今後、このような制度が全国に広がり、「外見の悩み」を抱える人が安心して支援を受けられる社会が実現することを期待したいと思います。
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