乳房パッドの重さは姿勢に関係する?片側乳房切除後の身体のバランスを調査した研究結果から考える

片側の乳房を切除したあと、乳房パッドを選ぶときに「できるだけ軽いものがいい」と考える方は少なくありません。

確かに、軽いパッドには、肩への負担が少ない、動きやすい、暑い時期にも使いやすいといったメリットがあります。

一方で、片側の乳房を失ったことで左右の重さに差が生じるため、「左右の重さの違いは、身体のバランスに影響しないのだろうか」と考えることもできます。

実際、2025年には、片側乳房切除後に使用する外部乳房プロテーゼ(以降は乳房パッドとします)と身体の姿勢との関係を調べた研究が発表されています。

今回は、この研究でどのようなことが分かったのかを紹介しながら、乳房パッドを「軽さ」だけでなく「重さのバランス」という視点から選ぶことについて考えてみたいと思います。

片側乳房切除後、左右の重さの違いは身体にどう関係する?

乳房を片側切除すると、当然ながら左右の乳房の重さに差が生じます。

乳房パッドには、この失われた乳房のボリュームや重さを補う役割があります。

これまでは、乳房パッドというと、

  • 服を着たときの左右差を整える
  • バストラインを自然に見せる
  • 乳房があった部分のボリュームを補う

といった「見た目」の役割が注目されることが多かったと思います。

しかし、乳房は身体の左右にある重量のある組織でもあります。

そのため、片側だけ乳房を失った場合には、左右の重さの差が身体の姿勢やバランスに関係する可能性も考えられます。

では、実際にはどうなのでしょうか。

乳房パッドと姿勢を比較した研究

2025年、片側乳房切除後の女性を対象に、乳房パッドの使用と身体の姿勢との関係を調べた研究が発表されました。

この研究では、片側乳房切除を受けた女性を、

  • 乳房に近い重さの乳房パッドを使用するグループ
  • ほとんど重さのない綿製パッドを使用するグループ

に分け、術後3か月と6か月の身体の姿勢を比較しています。

最初に726人が登録され、その後、除外や脱落などを経て、完全なデータが得られた240人が最終解析の対象となりました。

乳房に近い重さのパッドを使ったグループで表れた結果とは

研究では、乳房に近い重さの乳房パッドを使用したグループと、ほとんど重さのない綿製パッドを使用したグループで、いくつかの姿勢の指標が比較されました。

その結果、乳房に近い重さの外部乳房プロテーゼを使用したグループでは、綿製パッドのグループと比べて、

  • 頭が前に出る姿勢
  • 肩の左右差
  • 肩甲骨の左右差
  • 首の傾き

などの項目で、姿勢の偏りが小さい結果が示されました。

つまり、乳房に近い重さのパッドを使用したグループでは、ある姿勢において、身体の左右差や傾きが小さかったということです。

ただし、すべての姿勢に違いが見られたわけではありません。

肩甲骨の開き方、骨盤の傾き、体幹の回旋については、両グループの間に明確な差は確認されませんでした。

重さだけが原因とは言えない

ここは、この研究を読むうえで少し気を付けたい点です。

今回比較されたのは、

乳房に近い重さの乳房パッドと、
ほとんど重さのない綿製パッド

です。

そのため、両者では重さだけでなく、素材や形状などにも違いがあった可能性があります。

したがって、この研究だけから、「乳房パッドを重くすると姿勢が改善する」と結論づけることはできません。

姿勢の違いが重さによるものなのか、それとも素材や形状など、別の要素によるものなのかについては、今後さらに研究が必要です。

この点を踏まえると、今回の研究から私たちが考えられるのは、「乳房の重さを補うことも、乳房パッドを選ぶときに考えておきたい要素の一つ」ということではないでしょうか。

「軽いパッドなら身体にやさしい」とは限らない

乳房パッドを選ぶとき、「肩が凝らないように、できるだけ軽いものを」と考えるのは自然なことです。

もちろん、軽量パッドにはメリットがあります。

特に、

  • 長時間のお出かけ
  • 暑い季節
  • 肩への負担をできるだけ減らしたいとき

などには、軽いパッドが使いやすい場合があります。

一方で、片側の乳房を切除した方の場合、軽さだけを基準にするのではなく、左右の重さの差も含めて考えることが大切です。

今回の研究も、「重いパッドほど良い」ということを示したものではありません。

大切なのは、失った乳房の重さを補うことと、実際に身につけたときの快適さとのバランスです。

自分に合う重さは人によって違う

では、どのくらいの重さの乳房パッドを選べばよいのでしょうか。

これは、すべての人に当てはまる一つの答えがあるわけではありません。

乳房の大きさや形、身体の状態、普段の活動量、ブラジャーの種類などによって、心地よい重さは変わります。

また、同じ重さのパッドでも、ブラジャーに入れて使うタイプなのか、肌に貼って使うタイプなのかによっても、身体に感じる負担は異なります。

そのため、「○gなら正解」「左右を完全に同じ重さにすればよい」という単純なものではありません。

左右の重さの差を考慮することを一つの目安にしながら、実際の着け心地や使用する場面も含めて、自分に合う重さを探すことが大切です。

自分の乳房の重さが分からないときは?

「左右の重さを考えて選びたいけれど、自分の乳房が何gくらいなのか分からない」

そんな方も多いと思います。

乳房の重さを知る方法の一つとして、術前に使っていたブラジャーを利用して、おおよその重さを確認する方法があります。

ビニール袋に水を入れ、乳房と同じくらいの大きさにしてブラジャーに入れてみます。

実際に身につけてみて、重さに違和感がないか、肩や身体に負担を感じないかを確認することで、ご自身の乳房の重さを考える一つの目安になります。

ただし、これはあくまで目安です。

特に胸のサイズが大きい方の場合、ブラジャーに入れるタイプのパッドは、重さがそのまま肩への負担につながりやすいこともあります。
そのため、あえて少し軽いパッドを選ぶ方もいます。

また、肌に貼るタイプのパッドは、重さが身体に分散されるため、ブラジャーに入れるタイプとは重さの感じ方も異なり、大きいサイズの方でも違和感なく使える場合もあります。

だからこそ、実際に試着してみることが大切です。

乳房の重さを詳しく測る方法については、こちらの記事でも紹介しています。

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左右のバランスを考慮してみる

乳房パッドを選ぶとき、

「できるだけ軽いもの」

という視点だけで考えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、今回紹介した研究からも、乳房に近い重さのパッドを使用したグループと、ほとんど重さのないパッドを使用したグループでは、一部の姿勢に違いが見られたことが分かります。

もちろん、これだけで「重いパッドを使えば姿勢が改善する」と言うことはできません。

一方で、片側乳房切除後の乳房パッドを選ぶ際に、見た目だけでなく、左右の重さのバランスも考えてみるという視点は、知っておいてよいのではないでしょうか。

自分に合う乳房パッドは、実際に比べてみる

乳房パッドは、素材や重さ、装着方法によって使い心地が大きく変わります。

アイビークリエーションラボでは、

  • シリコン製パッド
  • 軽量タイプ
  • メッシュタイプ
  • 肌に貼るタイプ

など、さまざまなタイプを取り扱っています。

実際に手に取って重さを比べたり、試着したりすることで、カタログの数字だけでは分からない違いを確認していただけます。

「軽いほうがいいと思っていたけれど、実際に着けてみるとこちらの重さのほうが自然」

「左右のバランスを考えると、このくらいがちょうどいい」

そんなふうに、ご自身の身体で確かめながら選ぶこともできます。

乳房パッド選びで迷ったときは、「何gが正解か」だけではなく、自分の身体にとってどの重さが心地よいのかを試してみてください。

乳房パッドは「軽さ」と「重さのバランス」の両方から考える

片側乳房切除後は、左右の乳房の重さに差が生じます。

2025年に発表された研究では、乳房に近い重さの乳房パッドを使用したグループと、ほとんど重さのない綿製パッドを使用したグループを比較したところ、一部の姿勢に違いが確認されました。

ただし、この研究では重さ以外の素材や形状なども異なっていた可能性があるため、姿勢の違いが乳房パッドの重さだけによるものとは断定できません。

だからこそ、

「重ければいい」でも「軽ければいい」でもない。

自分の身体の状態や普段の生活、使用する場面に合わせて、重さ・素材・装着方法などを総合的に考えることが大切です。

乳房パッドを選ぶときは、見た目を整えるだけでなく、「自分の身体にとって心地よいバランスはどこなのか」という視点も、ぜひ取り入れてみてください。

参考文献

Xie H, Lan X, Wang Y, et al. Impact of wearing external breast prosthesis on body posture of patients after unilateral mastectomy: a randomized controlled trial. Frontiers in Oncology. 2025;15:1456562.

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